バンクシーが寄付

バンクシーが寄付をした?!

4月14日に自身の公式サイトで
Mobile Loversという新作を公開した
バンクシー。

この作品を巡って英国ブリストル市で持ち上がっていた
騒動が、先週一見落着した。

“Mobile Lovers”が描かれた場所は、バンクシーの地元ブリストルにある「ブロード・プレイン・ボーイズ・クラブ(Broad Plain Boys Club)」という青少年のための民間施設のすぐ近くで、合板に描かれ石塀のドア口に固定されていた。

翌4月15日、このボーイズ・クラブの代表デニス・スティンチクーム氏が“Mobile Lovers”を取り外してクラブの中に運び、作品があった戸口に「新しいバンクシーの作品は、損壊を避けるためにクラブ内で保管しています。自由にご覧いただけますが、クラブへ少額の寄付をお願いします」と書いた紙を貼った。

120年の歴史があるブロード・プレイン・ボーイズ・クラブは、無償で子供たちにスポーツやさまざまなプログラムを提供してきたが、近年は財政不足で存続の危機にあった。このクラブで長年ボランティアとして働いているスティンチクーム氏は、「バンクシーと近しいアーティストだと名乗る人物から、“あれはクラブのために描かれたものだから、施設内に移動させた方がいい”という連絡を受けた」と話している。このニュースが報道されると、「アーティスト本人の意向かどうか定かではないのに、作品を自分たちのものにして寄付金を募るなど窃盗行為ではないか」というクラブへの批判が相次いだ。

ブロード・プレイン・ボーイズ・クラブに移された“Mobile Lovers”とスティンチクーム氏。

その後、市議会の決定によりブリストル市立博物館・美術館に移動された。

さらに翌4月16日、ブリストルのジョージ・ファーガソン市長が「作品が描かれたのは市の所有地なので、所有権は市にある」としたため、“Mobile Lovers”はブリストル市立博物館・美術館に移され、クラブへの募金箱とともに展示された。

そして先週5月6日、バンクシーからスティンチクーム氏宛て届いた手紙がクラブのファイスブックで公開され、“Mobile Lovers”が正式にクラブへの贈物になることになった。

バンクシーのコメント

「ご存じのように僕は先日、クラブ近くの戸口に絵を描きました。この地区のために、ささやかなビジュアル・ギフトとして描いたものです。しかし、どうやら金銭贈与の方がもっと役に立ったようですね。あなたが正しいと思うかたちで作品を扱っていただいて構いません。これまでのクラブの活動には敬意の念を抱いています。何らかのお力になれれば嬉しいです」

と書き、

「待っているだけの人達にも何かが起こるかもしれないが、それは努力した人達の残り物だけである(Things may come to those who wait, but only the things left by those who hustle)」

というエイブラハム・リンカーンの名言の引用で締めくくっている。

スティンチクーム氏は、「もしかするとバンクシーはかつてこの施設を利用していて、恩返しをしてくれたとも考えられる」と語り、ファーガソン市長に、オークションで得た利益は、ブロード・プレイン・ボーイズ・クラブだけでなくブリストル市のユース・プロジェクトすべてに寄付することを約束した。落札金額は400万ポンド(約7億円)に達するのではないかと予測されている。

バンクシーから
スティンチクーム氏に送られた手紙

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2009年体育大学を卒業し体育教員となる。 2013年動画サイトで『スプレーアート』と出会い、人生が爆発。独学でその技術を取得した。2014年東京都公認パフォーマー『ヘブンアーティストライセンス』を取得。2015年日本人初、ニューヨーク単独パフォーマンスに成功。同年6年間勤めた体育教員を辞め、プロスプレーアーティスト、SPRAYMAN(スプレーマン)となり、日本を中心に世界100カ所以上でパフォーマンスを達成。2017年、相模原市で開催されたライブペイント大会にて『グランプリ受賞』『オーストラリア シドニーパフォーマンスライセンス取得』『アートムーブコンクール入選』など数多くの実績を積む。SPRAYMANとは名実共に日本トップクラスのスプレーアーティストである。